ホームヘルパー体験 -23年目の1日ホームヘルパー- |
「ホームヘルパー体験 -23年目の1日ホームヘルパー-」
田辺 美千代 先生
本校のホームヘルパー活動は今年で23年目を迎えることになる。昭和56年の若狭農林高校時に、県の社会福祉協議会から福祉協力校に指定され、その活動の一つとして1日ホームヘルパーを取り上げた。その当時はJRCなどのようなボランティア活動をする部活動がなく、家庭クラブの活動の一つとして取り組んだ。その後、昭和62年にも福祉協力校となったが、指定校が解かれた今でも活動を継続している。長年、活動が継続している理由には以下のことが考えられる。
(1)活動内容が生徒に受け入れやすく無理がない。
(2)生徒間に生活科学科(家庭クラブ)の伝統として定着している。
(3)福祉活動に対する教職員の共通理解と協力体制ができている。
(4)小浜市社会福祉協議会の絶大なるバックアップがあり、本校生徒を育成しようとする協力姿勢が見られる。
(5)生徒間に福祉の意識が深まってきている。
活動はわずか1日間、しかも3時間余りという極めて短時間の活動であるにも関わらず、お年寄りとの心の交流によって、生徒の意識に大きな変容が見られるのは確かである。強制的に参加させられたと思っていた生徒でも、活動の後には、お年寄りの家を自ら訪問したり、手紙の交換等を行っている姿も見られる。この体験によって、確実に福祉の心が芽生えていると信じて疑わない。さらに特筆すべきことは、誰しもが持っている人の役に立ちたいと思う気持ちがこの活動によってさらに増幅され、しかもお年寄りから感謝されることで生活に充実感が生まれ、その他の活動にも積極的に行動しようという意識が生まれていることである。
さらに付け加えれば、進路の選択にも時代の流れに影響しているとは思うが、平成15年3月の卒業生を例に挙げれば、福祉関係の仕事に就いた生徒は2名、福祉関係に進学した生徒は5名であり、クラスの生徒の約2割を占めている。今後はますます進むであろう高齢社会にあって、福祉の心の育成は時代の要請でもある。我が校の活動には、 何ら特筆すべきことはないが、1人の100歩より100人の1歩を合い言葉に、今後とも地道に活動を続けていきたい。